妄想と記憶

人生にくじける孤独な妄想と記憶

痒くない夜は気持ちいい。二日連続で痒くならなかった。ただそれだけでもう僕は幸せな気持ちになって、気分が高揚してしまう。朝起きたときに残りかすのようなものはあったけれど、見なかったことにしておく。まだ調子に乗るには早い。上がったら下がる。今夜が勝負だ。


先生も苦しんでいるのだから僕も苦しもう。おそろいのくるしみ。テンションは低めで安定する。高いと不安定だから。低めで安定する。


何だかこめかみからおでこにかけてぴりぴりと痒くなってきたじゃないか。いらいらする。いらいらしたから痒くなったのか、痒くなったからいらいらするのか。すべてに対して腹が立つ。自分に対しても。いや自分に対してだからこそ、すべてに対して腹が立つのかも知れない。すべてのものは自分を通して見ているのだから。苛立つ自分を通して見るものはすべて苛立つものになる。こんなときは岡崎律子さんを聴いて心を静める。先生のことを思い浮べて気持ちを落ち着かせる。二日しか続かない。このままいけそうな気がしていたのに。自分の心の動きが手に取るようにわかる。自分のことは自分がよく知ってる。自分さえわからなくなったらおしまい。


痒みのせいで何もする気力がなくなった。何もかもする気が失せた。何もできない。あぁ、つまらないつまらない。醒めたらみんなごみくず。希望が絶望に変わって楽しみが苦しみになって光が闇に消える。ほら上がったら下がったでしょ。僕の言った通り。それでも痒みは気力を奪います。誰のせいでもない。誰のせいでもないから僕のせいにしておく。みんな僕が悪いのです。自業自得の自己嫌悪。しかしそれにしても本当につまらない夜ですね。もう少しくらい楽しくてもいいはずなのに。本当につまらない夜。起きていても眠っていてもつまらない。生きていても死んでいてもつまらない。何をしていてもつまらない、そんな何かさえする気にならない、だから何もしないでつまらない。そんな夜です。おやすみなさい。つまらない夢を見るんだろうね。