妄想と記憶

人生にくじける孤独な妄想と記憶

早く起きたので街に出ました。外は曇り空。路面に雨が降った跡が残っている。気温は高めみたい。いつものカフェに来ました。日曜はお客さんの出足が早い。幸い家族連れがいないので居心地がよい。クロワッサンとジャガイモの入ったパンとブリオッシュとラテで早めのひとりランチ。ひとりなのは僕だけ。だけどもう気にならない。成長した証ですかね。土日限定の店員さんも土日限定のパンもお休み。土日限定の店員さんの行方が気になる。土日に外に出るきっかけをくれたひとだから。早めに帰って先生の依頼に没頭しようかな。依頼があると嫌なことを考えなくて済む。ずっと先生のことを考えて過ごせるから気持ちが落ち着きます。高揚感と自信が持続している。やはり『依頼効果』は大きい。


カフェ→ドトール。先生の好きなアメリカンを飲みます。先生と一緒にコーヒーを飲みたい。いつものカフェでテイクアウトする。先生はアメリカン。僕はラテ。依頼効果で頭のなかは先生のことばかり。カフェでは馴染みの店員さんと言葉を交わして、気持ちの上がるきっかけになった。心に余裕があるのを感じている。人に優しくなれる。僕はどうして生きていくべきなのか。答えのない答えを求めて苦悩している。逃げることは簡単。だけど僕にはプライドがある。無駄に高くてちっぽけなプライドです。このせいで逃げることができない。プライドが許さないのです。僕は現実と向き合う。病気と闘う。自分の生き様。自分の死に様。


今は依頼効果に身を委ねていようか。現実と向き合い過ぎてもいけない。現実から逃げることも必要なんです。眠い…夜は早めに寝るのがいい。昼に動き夜に休む。自然に適した生き方です。人間は夜行性ではないのだから。自律神経。交感神経。副交感神経。死にたいくせに健康的に生きるという矛盾。依頼に没頭しよう。先生のことを考えれば心は安定するのです。テンションは低めで安定させる。


明日早起きして仕事をしなければならないことを思い出した。急に鬱の波が押し寄せてきた。僕は飲み込まれて気持ちが不安定になる。この一ヵ月は毎週のように職場と関わっている。精神的なダメージが蓄積している。そろそろ嫌になってきた。さすがに毎週はきつい。まだ先生の依頼に没頭できる状態でない。明日の仕事が終わったら、ようやく先生のことだけを考えて過ごせる。やるときはやる。やるべきときは無理をしてでもやらざるを得ない。逃げたいけれど逃げられない。プライド。理解者。心の支え。やっぱり先生と一緒にコーヒーを飲みたい。


依頼を依頼しているのです。僕は先生に依頼を求める。僕のほうから何かできそうなことはないかと依頼の話をするのです。先生のほうから積極的に僕に依頼する訳にはいかない。僕は患者という立場だから。先生は患者の求めに応じるかたちで僕に依頼をする。報酬のない依頼。見返りを求めない依頼。先生はこんなことは僕にしか頼めないと言う。僕はこんなことは先生からの依頼でなければやらないと思う。僕は依頼を受けることで先生の役に立ちたい。依頼は手段であり、先生の役に立つことが目的なのです。変わった精神科医と変わった患者の変わった関係。