妄想と記憶

人生にくじける孤独な妄想と記憶

何とか気力を振りしぼって家を出た。街に出かける。外は暑い。でも秋風が気持ちいい。僕は孤独を気取る。周りの他人など気にすることはない。いつものカフェでまったり過ごす。


ひさしぶりの先生からの依頼だから最後まで責任を持ってやりとげます。そもそも僕のほうから言いだしたことだし。先生に心と体を癒してほしい。そう思って提案しました。純粋な気持ちで。ブランケットもおすすめ。僕はいつもブランケットに包まれている。落ち着く。安心する。先生のお気に入りが見つかるように僕にできるだけのことはするつもりです。だから安心して下さい。


カフェに来ました。いつもの席が空いていない。ついてないな…仕方ないか。テンションがさらに下がる。まあたまには違う席もいいか。しかし木の椅子だからけつが痛い。正確には尾てい骨が痛い。けつの肉がまったくないからな。いつもの席ならソファみたいな椅子だから座り心地がいいんだけどなぁ。はぁ…いつものカフェからも拒絶されているような気になる。祝日だから混んでいるのだろうか。やけに他人が多い。楽しいことを考えよう。せっかく外に出たのだから。


いつもの席が空いたので移動した。店員さんに断るときに緊張した。2杯目のカフェラテを追加した。やはりこの席が落ち着く。自分の部屋にも置いてある椅子。さっきの木の椅子ではもう少しでけつの骨が痛くて限界だった。いつもの椅子はソファの座り心地。僕の体に絶妙に合っている。音楽を聴きながら江戸川乱歩を読んでいた。さて続きを読もう。


うるさい集団がいるなと思っていた。さっきから気になっていたんだ。出てきたらまあ見事なDQN。まんまじゃねーか。つまんねーんだよそれじゃあ。ギャップがないと。あの犯人は捕まるだろうか。凶器が発見されたそうだが。ああいう奴らを見てると腹が立つ気持ちは痛いほどよくわかる。しかし殺す価値もない奴らだということもよく知っている。


眠くなってきた。乱歩は面白い。しかしふと顔を上げれば僕はひとり。やはり虚しい気持ちになります。孤独であることを嫌というほど明確にはっきりと自覚せざるを得ません。もう疲れてきた。先生と遊びたい。眠い…明日の朝の仕事が憂鬱だ…


外に出てもつまらない。家にいてもつまらない。平日はひさしぶりにヒトカラでも行くか。たまにはイタリアンの店でランチしようか。やっぱり誰かとお話したい。ひとりはつまらない。先生に友達を紹介してもらおうか。人恋しい季節。


あー今晩もこめかみの辺りがかゆいな。おでこはつっぱる感じ。実は今朝の惨状はひどかったんだ。こんなんでよく街に出かける気になれたなというくらい。頭をかいた記憶が残っていると朝起きるのがこわい。そういう意味では知らないあいだにかいてしまったというほうがいいかも。それはそれでショックを受けるわけだが。明日は早起きして仕事をしなければならない。本当にどうでもいい仕事。でもずっと続けている仕事。これが途切れたら自分に負けたような気になって自己嫌悪、自己否定がひどくなるに違いない。僕は負けず嫌いだから最期までやりとげるつもり。アトピーの調子がよくなればだいぶ楽になるはずなのに。ただ生きるだけで疲れる。もういい加減に疲れたよ。