妄想と記憶

人生にくじける孤独な妄想と記憶

僕は傷ついた戦士です。今日も遅く起きた朝。外は雨。


(昨日記録されたはずの妄想)
おでこが猛烈に痒い。昨晩あれだけ掻いたというのに。また今日も地獄を味わうのか。逃げ場がない。ここまで追い詰められたら自暴自棄になるか発狂するか。絶望だ。


とりあえず痒みを抑えるには氷で冷やすのがベターなのかも知れない。決してベストではない。しかしベストな方法が見つからない以上仕方がない。


どうしたら痒くならないかを考えるのはもう無意味だ。むしろ痒くなったときにどうしたら体と心の傷を最小限に食い止めることができるかを考えるべき。具体的にはできるだけ掻かないようにするにはどうしたらよいか。できるだけ痒みに耐えるにはどうしたらよいか。痒くなったらおしまいだなんて諦めるのはまだ早い。痒くならない方法がないとしても掻かない方法が見つかれば済む話じゃないか。まあ現実としては『できるだけ』を目指すことになるだろうが。


ついにまた発狂してしまった。お風呂から出てまだ頬の辺りが痒くて、イヤホンをしながらネットをして気を紛らわせていたのだけど、家族が僕のイヤホンをはずさせて間の悪いことを言うものだから、それが引き金になった。二階の自分の部屋まで駆け上がり『終わりだ!』と叫びながら椅子に倒れこんだ。涙は出なかった。やり場のない怒りのほかには何も感情がない。家族の言葉は僕の心まで届かない。デパス0.5mgを二錠飲んだ。興奮したら目がさえて眠る気にならない。もうすぐ午前一時になる。発狂してからもう一時間近く経つ。引き金に過剰に反応して感情を抑えることができなかった自分を責める。また家族に迷惑と心配をかけた。心に余裕がない。何もできない。生きていても死んでいても同じ。ならば死んだほうがいい気がする。


もう何もかも嫌になり、先生のことさえ自分の気持ちに嘘をついた。「本当は僕のことが迷惑なんだろ」って自暴自棄な言葉を呟いた。心の中ではそんなこと微塵も思っていなかったのに。先生に直接こんなこと言ったら本気で怒るかも知れないね。発狂するきっかけなんていくらでも転がっている。それに耐えられないのは鬱でなくアトピーの調子が悪いせい。だから家族はアトピーを何とかしなければと考える。でも僕はアトピーのことなんてどうでもいい。むしろ考えたくない。何とかならないものだと知っているから。僕が耐えればいいだけの話。僕が弱いのが悪い。弱くても生きていけるのは健康な普通の人間。病気持ちは弱ければ生きていけない。だからもっと強くならなければならない。まだ死にたくないから。


朝まで起きていようかと思うけど何もする気になれずに途方に暮れている。寝たら掻いてしまうんじゃないかという不安な気持ち。だったら起きていたほうがいいんじゃないかと思った。明日の朝は早いんだ。遠い嫌な場所に行かなければならない。昨晩発狂したとき嫌で嫌でたまらなくなった。うまく仮眠がとれたらいいのに。先生みたいに。寝たくないけど何もできないでいると眠くなってくる。少しだけ仮眠してみようか。いつもと違うことをするのは非常に疲れを伴う。本来必要のない理不尽なことだから、とても腹立たしい気持ちになる。大きな負担。嫌だな…