妄想と記憶

人生にくじける孤独な妄想と記憶

通院日だから街まで来ました。いつものカフェにいます。テンションは最悪です。運も悪いみたい。いらいらする。もはや僕の居場所ではない。他人が鬱陶しい。さっさとお昼食べて早めに出るか。こんなことでデパスは飲みたくない。何もかも嫌になる。外に出ても何もいいことなんてない。


散々だな…先生からも見捨てられたらしい。そりゃないよ、先生。ひどいよ。何で急にそんなこと言うんだよ。すごく傷付いた。心が痛いよ。先生だけが支えなのにそんなふうにされたら、もう支えじゃなくなっちゃう。嫌いだよ、今日の先生。信頼関係なんてもろいものですね。あんな言い方ないよ。まるで僕のことを邪魔者扱いじゃないか。ふざけんなよ。本心は違うよね?今日は疲れてただけだよね?どうしちゃったんだよ。わからない。先生のことがわからなくなった。もう信じられなくなるよ。ショックだ。地震なんかよりずっとショックだよ。白々しい態度しちゃってさ。とうとう天狗になっちまったな。忙しくて大変なのはわかるけど、今までの信頼関係をすべてなかったかのようにするのは悲しすぎる。今まで何でも話してくれたのに…だから僕も何でも話せたのに。とりあえず意図的だと考えることにするよ。でないと僕は壊れてしまう。まだ僕は先生のことを信じるしかないんだ。


いつも先生の話を聞いて先生のために考えていたことは何だったのですか。診察時間の半分は先生が話したいことを僕が聞いていたつもりだよ。なのに話すことないなら帰れみたいなのはあんまりだ。泣きそうだよ。まさか先生からこんな仕打ちを受けるとは思わなかった。先生に心の余裕がなかったとしても、今の僕にはそれ以上に心の余裕なんてないんだ。わかるだろ?所詮僕なんて先生の患者のひとりに過ぎないということですね。だったら最初から僕に話してくれるな。薬だけ出せばいいじゃないか。他の患者に言えないような話を何故僕にしたんだよ。僕にしか話せないみたいなこと言って、僕は勘違いして思い上がってバカみたいじゃないか。無責任なこと言って必要がなくなったらさようなら。僕はそんなにお人好しじゃない。先生なりの考えがあるのかも知れないし、僕が誤解しているのかも知れない。だとしても僕は先生のせいで傷付いた。これは事実だから。この胸の痛みは本当なんだ。


もう何もなくなっちまった。誰も信じられない。何もかも嫌になった。すべてどうでもいい。心の支えがなくなったんだ。もう何もできない。理解者なんてひとりもいない。僕はひとり。虚しいね。つまらないね。もう死んでも構わない。先生がいたから死ななかっただけ。もう今の先生は今までの先生じゃない。先生は死んじゃった。僕は生きる理由がなくなった。


ドトールに寄ってから本屋まで歩いて漫画を立ち読みした。すべてに対して敵対心を持つようなやりきれない思い。何もかも意味を持たない。くだらない。もう疲れた。先生の態度が一時的なものでないのなら、毎週なんて通う気にならない。先生から言い出したことであって、僕から言い出したことじゃない。これじゃ僕は先生に振り回されるだけ。僕に対して配慮がなさすぎる。せっかく自然な関係になれたと思ったのに残念だ。自然体なのと単なるわがままとは違うはず。ちゃんと説明してくれないと僕だって納得できない。これじゃ他の医者とあまり変わらない。先生の存在価値がなくなる。僕は医師不信なんだ。先生が普通の医者になったら、先生のことを信じることはできない。今の先生が本当の先生でないことを祈っている。ただ疲れていて余裕がないだけなんだ。忙しすぎて僕に冷たい態度を取ってしまっただけなんだ。僕らは正直で嘘をつかない関係だから。何もしていないのに態度が急変するからには、ちゃんと先生なりの理由なり事情があるはずなのです。僕は先生を信じるしかありません。先生は僕の唯一の理解者であり心の支えなのだから。


なんか嫌なことでもあったんだぜ、きっと。そんなもんだ。体調悪そうだったし。そうだそうだ。心配することなんてないんだ。来週からはいつも通り。先生とお話して癒されるはず。来週になればみんなわかる。今ぐだぐだ考えてたって悪いほうにしかいかない。直接会って話さなければ何もわからないよ。これも僕の心に余裕がないから起こっていることかも知れない。誤解してる可能性が高いと思う。


結局僕はお人好しなのかも知れない。でもそれでいいんだ…うん。それが僕なのだから。


逆に先生が話すことないならそんなに長い時間いらないってことなんだよ。もう毎週じゃなくていいよ。薬もいらない。精神科医が心の支えになんてなるはずないんだ。僕がバカだったんだ。医者は医者でしかないし、患者は患者でしかない。それだけのことだよ。


まだ気持ちがもやもやする。精神的支柱をなくした僕は、この先どうして生きていけばいいのでしょう。これにアトピーの痒みが追い討ちをかけて、僕はいよいよ自暴自棄になるのです。もう駄目だ。どうしてこんなことになってしまったのか。正直に話すのが僕達の約束だから、いつかすれ違いや誤解によって喧嘩になることも予想していた。予想はしていたけど実際言い争いなんてしたくない。理想の人間関係なんて永遠に続くものではないのかも。というか本当に理想の人間関係だったのか、強い信頼関係が構築されていたのか自信がなくなってきた…


そうか。先生は苦しんでいるんだ。それなら僕も先生と同じくらい苦しまなければならない。でなければ先生の気持ちがわからないから。思えば先生の様子はいつもよりおかしかった気がする。今は先生を信じるしかない。


僕らの信頼関係が本物かどうか試されている。こんなことで駄目になるようでは理想の人間関係とは言えない。ここを乗り越えたら、きっとより強い絆で結ばれるはず。楽観的に考えるしかない。先生を信じるしかない。先生はやっぱり僕にとってなくてはならない存在だから、そう簡単に諦めるわけにはいかない。せっかく出会えてここまでよい人間関係になれたんだから。これでおしまいだなんて絶対に嫌だ。おそらく僕の被害妄想と誤解、そして先生の過労による精神的な不安定さが原因だろう。これらがお互いの体調の悪さと相まって、偶発的に引き起こされてしまったに過ぎない。そんなに深く思い悩むことはないかも知れない。案外先生なんてケロッとして何事もなかったかのようにしているんじゃないか。来週先生と会うのが少し怖い気もするけど、きっと今まで通りの先生で安心したい。とにかく先生を信じること。僕にはそれしかない。