妄想と記憶

人生にくじける孤独な妄想と記憶

僕の趣味は物思いに耽ること。長生きはしたくないから仙人とは違う。あらゆる欲をなくしたストイックな道士。死ぬまで修行あるのみ。


僕は先生のことが好きだったのかも知れない。今でも先生のことが好きなのかも知れない。僕は無意識にそれを認めたくなかったのかも知れない。傷付きたくなかったから。無理だと知っているから。結局先生は僕のなかにしかいなかった。僕の脳内だけの存在に過ぎない。僕によって作られた偽りの存在。現実の先生を自分のいいように歪めて眺めて満足していた。こんな風に考えても自分を苦しめるだけだろうか。
やはり反魂は左道だったということか。宋は本当にそれでいいのか?秀梅ちゃんがいるからいいのか。いやよくないだろう。シュエ姉ちゃんじゃないと駄目だ。姉ちゃんの代わりなんていないはず。宋の欲しかったのは冥福ではない。やはり僕は納得できない。結末があっさりし過ぎている。漫画と現実の境が曖昧になってきた。現実逃避のための楽しみを、自身の現実とだぶらせるのはあまりよくないか。好きな漫画は現実にも影響を与えることが多い。よい影響となればいいのだが…


やるべきことを先に済ませたら、実家にいるときよりも早い時間に眠る準備が整った。無意識に自然にストイックになっていた。明日が休みなら、コーヒーかお茶を飲みながら漫画を読むこともできただろう。しかし明日は残念ながら休みではない。だから時間があっても何をする気にもならない。ただ眠くなるまで物思いに耽る。音楽を小さく流しながら。今週はあと三日。とりあえずは明日をやり過ごすことを考える。一日だけなら負担が1/3になる。最初から3/3を考えるより、1/3に分けて考えたほうが負担が少なくて済む。1/3→1/2→1/1。病気持ちであることを逆に利用する。前向きな開き直り。無理はしない。これでも僕はよくやっている。


先生が患者さんから逆に力をもらえるという理屈は、僕にも同じように当てはまることなんだ。誰かの役に立つことで、自分に自信が持てる。誰かに必要とされることで、自分の存在する意義を見出だす。僕も先生みたいに誰かに必要とされたい。誰かの役に立ちたい。誰かに信頼されたい。その誰かはみんな先生であって欲しかった。僕は先生にとって特別な存在でいたかった。僕は先生が好きだった。この心の痛みが何よりの証拠だよ。先生の代わりなんて見つからないよ。この傷が癒える日は来るのだろうか。僕はまだ吹っ切ることができないでいる。気持ちの整理なんて、自分の気持ちを誤魔化すために過ぎない。先生の前で嘘をつくことはできない。僕の本当の気持ちを先生に伝えても、自分が傷付くだけだと思う。先生のことを考える日々はこれからも続く。先生のことを考えることは、自分の心の中身を知ることにつながる。僕には考える才能がある。考えを言葉にする才能がある。