妄想と記憶

人生にくじける孤独な妄想と記憶

外は晴れ。風が冷たくて寒い。気持ちは底に沈んでいる。無気力。何もしたくない。まるで死んだように生きている。食欲なし。昨晩は眠れたけど、寝ている間に掻いた形跡が少なくなかった。皮が散乱していた。両頬から汁。でもたいしたことはない。水で顔を洗ってもしみなかった。今日は先生に会いに行く。昨日先生とお話しする準備をした。先生の力が必要なんだ。少しでも癒されたい。傷付いてボロボロになった心を癒して欲しい。移動時間はほとんど寝ているようになった。ひどく疲れている。死にたい気持ちを抱えたままで、どのくらい生きていくことができるだろう。限界をあと何度乗り越えることができるだろう。あと何度乗り越えなければならないのだろう。


クリニック→いつものカフェ。鬱すぎてあまり楽しめなかった。でもなんか安心した。癒してもらうことはできたってことかな。先生に愚痴を言うのはもったいない気がしている。もっと高いレベルで脳内世界のお話をしたい。先生が思わず「おー」ってうなるような考えを伝えたい。先生に認められたい。誉められたい。そんな気持ちに近いのかも。今日は何だかやたらに先生が大きく見えた。体は小さいはずなのに。存在がいつもより大きく感じた。やはり僕は先生が必要なんだ。
いつものカフェでいつものひとりランチ。エクレアはやめておいた。ストイックな食事をすると決めたんだ。ケーキは悪い気がする。昨日はあまりおいしいと思わなかったし。テイクアウトするパンも甘いものは避けた。パン自体は悪い気はしない。過度な制限はストレスになる。ストレスで逆に悪化したら本当につまらない。食欲がないからもうお腹が一杯。このくらいがちょうどいい。食べ物は質も大事だけど量も大事。食べ過ぎは禁物。少ない量で質のよいものを食べて満足する。それがアトピーにどれだけ影響があるかは分からない。だけど食事を制限することくらいしか方法が見つからない。スキンケアとか直接的なことはもう試す余地はないように思う。外から何をしても同じ。これが何年もかけて出した僕の答え。異常は体の中で起きているのだから、見えないところを見ようとしなければいけない。肌だけ見ていても解決しない。僕はストイックに過ごす。いつか必ず報われるはずと信じて。


一寸長居しようと思う。ラテダブルをもう一杯。子連れが帰ればもう少し居心地がよくなるのだが。他人を動かすことはできないから仕方ない。気にしないでいるしかない。できるだけ離れた席に座っていたい。
僕の居場所で物思いに耽る。それは小さな幸せ。椅子に浅く座って足を遠くに伸ばす。身体をリラックスさせる。ラテが来た。コーヒーの苦味とミルクの甘味。エスプレッソ追加でそれがより際立つ。ダブルとはそういう意味なのです。今や僕しか頼まない裏メニュー。心が温まる。コーヒーはいつものカフェでしか飲まない。インスタントな粗悪品はもういらない。家ではお茶をすすろうと思っている。緑茶、紅茶、爽健美茶。実家ではルイボスティー。アパートではティーバッグかペットボトルに限られる。器を楽しむためにお茶を飲む。お茶を飲むことは手段であって目的ではないのです。ビンテージの食器は実際に使ってこそ価値がある。ただ眺めているのもいいけどね。使い込むことで自分に馴染んでくる。何十年も眠っていたものが、僕によって息を吹き返す。だんだん僕のかたちになっていく。すっかり趣味になってしまった。本来潔癖症な僕には合わないはずだった。こういう趣味もいい。好きなことがあるのは、それだけで幸せなことなのだ。


椅子に深く腰を沈めて物思いに耽る。ようやく子連れがお帰りになられるようだ。汚された空気。静かできれいな空気を取り戻す。場違いなんだよ。大人しい子供なら構わない。僕の居場所を汚さないで欲しい。すべてはタイミング。運の悪さ。やっぱり宝くじは買わない。気持ちはだいぶ落ち着いた。先生のお陰。いつものカフェのお陰。僕には居場所がある。それで救われる気持ち。心地よい。生きている感じがする。ひとりでも孤独じゃない。ここは僕の居場所。馴染みの店員さんたちと言葉を交わして癒される。僕は特別な、否変わったお客。今の気持ちならどうにかやれそうな気がする。『居場所』がある限りはがんばれるだろうか。僕はよくやっている。自信を持っていいと思う。すべては自分の脳内で起きている。それはいつも心の奥に留めておかなければならない。自分を客観視できる才能。自分を見失わないように、迷子にならないように。


別の逃げ道を作っておくのも手かも知れない。道は多いほうがいい。現実的なものも非現実的なものも含めて、できるだけたくさん選択の余地を残しておくべきだ。今は実際一つしかないから、何かあるとすぐに追い込まれてしまう。つまり今の道を続けるか、それとも死ぬか。視野狭窄に陥ってしまう。これだとかなり苦しい。別の道を作れば、今の道につまずいた時に一時的であっても逃げることができる。とりあえず緊急的に避難することができる。道が複数あればそれだけ余裕が生まれる。何か道を探したいと思う。ぼんやりしたものはいくつかある。非現実的なものばかりだけど。それでもないよりはまし。そんな別の道というのをより突き詰めていけたらよいと思う。そしたら今よりは生きるのが楽になるはず。僕に合った、僕にしかできない、僕だからこそできる。そんな生き方ができたらいいなと切実に願っている。


いつものカフェを出るときに、また来週と言葉を交わして少し憂鬱な気がした。嫌いなことはまだ考えなくていい。段取りは当日の朝決める。好きなことなら何日も前から頭に浮かべたほうが楽しい。好きなことに没頭したい。苦しいと思うのはまだ悟りを開いていないから。修行が足りない。苦しみに耐えるのに必要なことがあると考える。一つは報われること。もう一つは代わりの楽しみがあること。この二つがないといつか必ず限界が訪れる。


戦略的に生きる。


やけにくしゃみが出るな。花粉症かそれとも風邪か。水のように滴るから風邪じゃなくてアレルギーだな。まったく不便な身体に嫌気が差す。


やはりどうしても一時間近くはかかってしまう。かなり意識して適当にやったつもりなのだが。まあいつもよりは早く済ませることができたのだから、これでよしとしようか。なるべく、できるだけ、それなりに。ある程度できたらそれで満足する。始める時間を早くするしかないな。今から無事に眠れたら7時間の睡眠が取れる。どうか安らかに眠れますように。よい夢を見たい。おやすみなさい。